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「ヤバい会社」を避ける!現役経理社員が教える超ざっくり転職先の決算書の読み方/ポイント【初心者OK】

はす

「この会社、業績どうなんだろう?」
「転職先、ほんとに大丈夫?将来潰れないよね?」
──そう思ったことはありませんか?
転職先を選ぶとき、会社の“中身”を知る最強のツールが「決算書」です。
「なんだか難しそう…」と思うかもしれませんが、実は見るべきポイントはたったの3つだけ
この記事では、会計知識ゼロでもOKな“超ざっくり決算書チェック法”を紹介します。
現役経理社員が可能な限り優しく転職で失敗しないための「最低限の読み方」だけに絞って解説します!

近年、大手でも経営不振からリストラや経営破綻の時代
面倒でも決算書は見ておきましょう

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大手電機・精密機械メーカー経理職
Profile
新卒9年間「働きやすいけれど成長実感のない」ぬるま湯ホワイト企業に勤務。
将来のキャリアに危機感を感じ、30代で大手電機・精密機械メーカーに転職。
現在は経理職として、決算、事業計画、M&Aなどの重要業務に従事しています。
転職後はスキルも年収も飛躍し、200万円の年収アップとやりがいある仕事を手に入れることができました。
このブログでは、当時の自分と同じように「会社に大きな不満はない。でもこのままでいいのか不安」 と感じている人に向けて、20〜30代での“攻めの転職”のリアルとノウハウを発信しています。

なぜ転職先の決算書を見るべきか

当たり前のことですが、企業が赤字続きでは事業存続はできません。
業績が低迷している企業では皆さんの給料も増える見込みは薄いです。ボーナスも少ないでしょう。
折角手間暇かけて転職をしても、「転職先が潰れました」「給料がむしろ下がりました」は避けたいですよね。

冒頭でも触れましたが、今は大手でも経営破綻からリストラを敢行する時代。
自分の身を守るためにも最低限の数字の知識は身につけましょう。

大手企業も安心ではない
  • 日産自動車:世界で2万人を削減
  • 東芝:2024年度から3年間で、最大4000人の人員削減
  • 住友化学:2025年3月末までに連結従業員数の約1割、4000人削減を計画
  • 資生堂:従業員の約4.5%の1500人早期退職を募集

決算書はどこにある?

会社のホームページの「IR情報」「投資家情報」から「有価証券報告書」を探してください。
例としてトヨタ自動車株式会社の有価証券報告書の探し方を紹介します!

「トヨタ株式会社」と検索しホームページにアクセスし
①投資家情報を選択
②有価証券報告書・半期報告書を選択
③2021年3月期~2024年3月期を選択(昨年度のものを選択)
④有価証券報告書を選択(年間のものを選択。「有価証券報告書」と記載されているものが年間のもの)

Warning

有価証券報告書を開示しているのは上場企業のみとなります。
非上場企業の決算書は帝国データバンク等から「有料で」取得可能ですが、恐らく個人では難しいと思いますので、Openwork等から間接的に業績を取得するか、エージェントに聞いてみてもいいでしょう。

ずばりここだけ見ればOK!超ざっくりポイント

決算書からは「成長性」「安全性」「健全性」をチェックします!
最低以下の①②、余裕があれば③をチェックしましょう!

チェックする項目(優先度順)

①営業利益の5年間推移
②営業キャッシュフロー
③自己資本比率(余裕があればでOK)

ぶっちゃけると経理社員でも転職する時はこのぐらいしか見ません。
流動性比率が~、PBRが~など巷では聞きますが、何社も受けるのにそんなの見てられません。
結局は上記の3つがしっかりしていれば、その他の項目も健全といえる水準になっていることが多いです。

①成長性「営業利益」

「連結損益計算書」「営業利益」「5年分」確認しましょう!
またトヨタを例に確認。

先ほど開いた有価証券報告書から
①ドキュメントの概要をクリック(目次が表示される)
②第5【経理の状況】から1【連結財務諸表等】をクリック
 少し下にスクロールして【連結損益計算書】まで進める
③営業利益を確認

ここでは2年分しかないので、続いて
・2年前の有価証券報告書を開き3年前、4年前を確認
・3年前の有価証券報告書を開き5年前を確認

5年分のデータをExcelやノートに書きだしてみましょう。
トヨタの5年間の営業利益はこんな感じ⇩

2021年3月期2022年3月期2023年3月期2024年3月期2025年3月期
営業利益2.2兆円3.0兆円2.7兆円5.4兆円4.8兆円
5年間の成長率218%

5年前から2倍以上も利益が成長していますね!(さすがトヨタ)
単年で比べると特殊事情で凸凹することも多いので、5年前と比べて成長しているか?というのが1つの目安です。

5年前と比較して成長していれば「成長性」の観点は合格です。
逆に下がってしまっている企業は要注意

詳しく知りたい人向け

「営業利益」とは?
その企業が本業から稼いだ利益を指します。
具体的には「売上高」から製品等を作って売るのにかかった費用(「売上原価」)を引いて、本社の人件費やビルの賃料、その他の経緯(「販売費および一般管理費」)を引いた額となります。
営業利益がプラスでかつ成長しているということは、本業が順調に成長しているということ。

②健全性「営業キャッシュフロー」

健全性の観点として営業キャッシュフローがプラスかどうかを確認します。
そもそもキャッシュフローって何?という人は後段の説明をご覧ください。
とりあえず先に見るポイント(結論から)

先ほど開いた有価証券報告書から
①ドキュメントの概要をクリック(目次が表示される)
②第5【経理の状況】から1【連結財務諸表等】をクリック
 少し下にスクロールして【連結キャッシュ・フロー計算書】まで進める
③営業活動によるキャッシュフローを確認

「4,206,373」(百万円)プラスになっているのが確認できますね!

プラスならOK!!
「今その企業が健全」であればOKなので直近1年だけ確認できれば大丈夫です。
余裕があれば営業利益とともに5年間確認してももちろんOK

詳しく知りたい人向け

営業キャッシュフローがプラスなら健全とは?
キャッシュフローというのは、お金の流れを意味する言葉で、
・プラスなら現金が手に入った
・マイナスなら現金が出て行った ことを表します。
営業キャッシュフローというのは、営業活動(本業)の結果、現金が入ってきたのか、出て行ったのかを表しています。
当然、本業の結果現金が入ってきたほうが良いですよね?
上の例で言うとトヨタは本業の結果、前年度から現金が手に入ったということになります。

あともう少し言うと、現金のマイナスが続いてしまうと企業は倒産します。
本業で現金を稼げなくなり、手元のお金がなくなったとき企業は倒産します。
現金を稼げている状態こそが企業にとって「健全」な状態といえます。

③安全性「自己資本比率」※余裕がある人向け

続いてその企業の安全性を見る指標「自己資本比率」を見ます。
詳しい説明は後に飛ばしてどこを見るかだけ。

先ほど開いた有価証券報告書から
①ドキュメントの概要をクリック(目次が表示される)
②第5【経理の状況】から1【連結財務諸表等】をクリック
 少し下にスクロールして【連結財政状態計算書】まで進める
③次のページの「資本合計」と「負債及び資本合計」を確認
④「資本合計」÷「負債及び資本合計」を計算

上記の場合、トヨタの自己資本比率は約39%です。
自己資本比率は40%以上が健全といわれることが多いです。
ただし業界・業種によってもこのハードルは色々です。トヨタは安全ではないのか?というとそういうわけでもなく、トヨタは金融事業も営んでおり、金融事業の自己資本比率が10%と低水準になっています。
一方で自動車事業については50%以上の自己資本比率であり、40%を超えています。

大企業になればなるほど、複数事業がありますので適正な自己資本比率というのは見極めにくくなります。

詳しく知りたい人向け

自己資本比率は、会社の総資産のうち「自分のお金(返さなくていいお金)」がどれくらいあるかを示す割合です。
この数字が高いほど、借金に頼らず安定した経営ができる会社といえます。
目安としては、40%以上あれば「財務が健全」とされることが多いです。
キャッシュフローでも触れましたが、企業は現金がなくなれば倒産です。
返さなくてよいお金というのは重要なのです。

実例:トヨタと日産

では2025年現在経営不振に陥っている日産とトヨタを比較してみましょう。

トヨタ日産
5年間の営業利益成長率218%28%
※5年前赤字で算出不可のため4年前での比較
営業キャッシュフロープラスプラス
自己資本比率約39%約29%

営業キャッシュフローはプラスを保っているものの、営業利益はマイナス成長、自己資本比率も落ち込んでいます。
このままではいよいよ日産も危険、リストラをして人件費を削減という流れです。

まとめ:難しい知識は不要。あなたのキャリアの安全度を高めよう

とにかく営業利益と営業キャッシュフローを確認する癖を付けましょう。
大手だから安心~と思ってはいるとマイナス成長でどんどん給料は下がり、挙句リストラを食らうなんてことにもなりかねません。

ぜひキャリアの安全を高めていきましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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